本作は1980年にオーストリアで起こった一家惨殺事件を元に作られ、1983年にオーストリアで公開された映画です。
あまりの過激な内容に本国オーストリアでは公開1週間程で上映禁止され、まもなくヨーロッパ全土でも上映禁止となりました。
当時、日本では劇場公開されておらず、「鮮血と絶叫のメロディ 引き裂かれた夜」というタイトルでレンタル用VHSとして販売されていたのみでしたか、2020年、事件から40年の時を経て劇場公開されました。
日本での公開時に「カノン」「アレックス」「CLIMAX」等の衝撃的な作品を監督したギャスパー・ノエ監督がインタビューに答えてます。
彼は学生時代、フランス語で吹き替えられた本作を60回以上は鑑賞しているそうです。
「CLIMAX」では本作の主観と俯瞰が入り混じったカメラワークからの影響が色濃く感じられます。
「アングスト/不安」あらすじ
この映画はヴェルナー・クニーシェックという実在の殺人鬼を元にしたK(アーヴィン・リーダー)が、見ず知らずの老婦人を銃殺するところから始まります。
その後、10年程の刑期を終え仮出所したKは、強い殺人衝動に駆られました。
レストランで物色したり、タクシーの運転手の首を絞めようとして失敗しながら一軒の大きな屋敷にたどり着いきました。
屋敷には母親、息子、娘が暮らしていて息子は車椅子で生活していました。
自分より弱い獲物を探していたKにとって都合の良い家族を見つけついに犯行に及びます。
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「アングスト/不安」ラストネタバレ
歩けない息子の車椅子を蹴り飛ばし、娘を捕まえてドアに縛りつけます。
次に母親の首を絞め絞殺しようとするが、母親が中々死なずについには疲れて座り込んでしまいます。
なんとか腕の力で2階へ移動した息子に気づいたKは、息子をバスタブに沈め溺死させます。
行き当たりばったりの殺人に苛立つKは娘と母親のいる部屋に戻ります。死に掛けている母親に薬を与えて欲しいという、娘からの嘆願を聞くが母親は死んでしまいます。
最後に自分を誘惑してきた娘をナイフ滅多刺し、娘の死体を抱いたKはそのまま眠ってしまいました。
「アングスト/不安」結末からのストーリー考察!
一晩明け、車のトランクに一家の死体を積み込んだKは、昨日訪れたレストランへ向かいます。
新しい獲物を物色しながら食事をするKを不審に感じた店員は警察を呼び、駆けつけた警察官が開けたトランクの中を見て唖然とする店員とレストランの客。
その後終身刑を言い渡され物語は幕を閉じます。
本作はモノローグの使い方が特徴的で、全編通して発声という意味でのセリフが極端に少なく、ほとんどが主人公Kの頭の中を言語化したもので構成されています。
カメラワークに関しては、基本的にKの表情を捉えた映像が多く使われています。そこにK視点からの映像や、極端な俯瞰での映像を混ぜています。
主観的かつ表情がよくわかる映像に、殺人鬼の身勝手な真理描写をリンクさせることで、観客に無理やり感情移入させる作りになっています。
さらに極端に離れたところからの俯瞰的な映像では、客観的に自分の異常性を語るモノローグが入ります。
このような手法を全編通して見せていくことで、映像と心理描写の両方で殺人鬼による惨殺の擬似体験をさせられているように感じます。
公開当時では画期的な演出により、本当に恐ろしく不気味な魅力が込められていますね。
現在ではAmazonプライムビデオで「アングスト/不安」を視聴できるので是非ご覧ください。
1980年代の映画はこちらでも紹介をしているので併せてご覧ください。
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